ここでいう叙情マンガは1~12ページの短いマンガで、どうも一般的なストーリーマンガの作り方と違うようなのです(同じところも多いですが)。
そこで何人かの方とお話ししながら叙情マンガ作りのポイントをまとめてみました。
でもこのことに縛られる必要はありません。理屈では説明できないところもある気もします。
いったん自分で考えてあとは自由にやっていただければと思います。
今とはちょっと違う作品作りの参考になれば、と思います。
”ある事柄”を核として、そこから短いマンガとして”演出”し小さな物語を作ります。
”叙情マンガ”の特徴を以下に示します。
”ある事柄”は、過去の記憶であったり日常で見かけた事だったりします。メディアや他の人から聞いた事は他人のフィルターが必ず入ってるので、自分の事として思える程度に熟成が必要です。
”演出”し小さな物語にするには別の”事柄”を組み合わせたり、空想で補完することになります。
物語には起承転結がありますが、叙情マンガでは特に転は重要ではありません。
他の表現に例えるとショートコントでなく、歌を作るのに近いと言えそうです。
見栄や希望や想像ではなく、心の奥にひっかかった正直な感情の比率が高い作品は純文学をもじって"純叙情マンガ"と言えるでしょう。
そして一人の作家が描ける数には限りがあるのです…そんな気が。
映画のようなカメラワークを意識し構図やコマ 割りで時間の流れを作ることで、読み手を作品に引き込み追体験させやすくなります。
言葉と絵の流れに加えて音や色も表現すると重層的な効果が期待できます。
流れにわざと緩急をつけます。例えばセリフの無い風景のコマを入れると余韻を作れます。
コマの大小、ユーモアやカワイさなどもアクセントになります。
上から目線や他人行儀では、読み手の心が離れたまま他人事の話で終わります。
親しい人に手紙を書くような気持ちを忘れずに。
作画作業がハードルになって描けない時もあります。自分が楽しく描けるよう自分好みに設定を変えると作業が進むのでは。
自分なりの新しい事も描く推進力になります。
マンガの絵はある種記号ではありますし、その線は慣れで引けるかもしれませんが、いつでも気持ちを入れて引きましょう。上手下手関係なく気持ちの入った絵は丁寧に見てもらえるでしょう。
あなたが描くことで必ず新しい意味が生れます!
あなたが描く価値は必ずあります。
私はそれまで主に(1)異性との記憶をベースにする、たまに(2)異性の姿を借りて自分の思い出を語る、というスタイルで「ひとつ」のマンガを制作してきましたが、2017年の「ひとつ」には「虫」と「祖父」の記憶をベースにし(特に「祖父」では異性も登場しない)描いてみました。描く対象を変えることもひとつの方法かと思います。
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