1.「胸の奥に仕舞ってある声」

「胸の奥に仕舞ってある声」 作詞:小津端うめ

 作詞:小津端うめ

--------------------------------------------------------------
全てが色あせて見える

戦争のニュースは私が今まで信じてきたものを奪い
人間というものへの信頼を奪ってゆく

私はもう弱って動けないんだ…

でも海は、人の営みとは関係なく
青に鈍(にび)に色づく

海よ
美しい海よ

何をされるわけでもないけれど、この海のおかげで かろうじて生きのびている
--------------------------------------------------------------
「叙情派ひとつ2024」に寄稿いただいた作品「胸の奥に仕舞ってある声」より。
アルバム「気候怪獣がやってくる」から「ことばひとつ」への転換を象徴する曲です。

2.「The Raven」

「The Raven」 作詞:小野カロン

作詞:小野カロン

----------------------------------------------------------------------------
この階段を降りれば、その店はある。
お前は、深い迷いの中に居る。

この暗い階段はどこまで続くだろうか?
その店にたどりつけるだろうか?
そんな不安の先に、その店はある。

店内は音であふれ、誰も声をかけない。
いつも座る隅の席。
暗い照明。
真っ黒でただ苦いコーヒー。

お前はリクエストのメモをカウンターに置き、
やがてその音楽に抱かれる。

その店は数少ない安らげる場所だ。

お前はまだ何物でもない。
名付けようのない感情に捕らわれて振り回されてる。
そのくせ、その正体を知る事を怖れ、逃げている。

ここは失ったものを懐かしむ処だ!
その想い出と後悔に、酔いしれる処だ!

私はかつて美しいものに出合い、手に入れ、そして失った。
どれほど嘆こうと、あの歓喜や至福が戻ることは…
二度と無い!

だからお前は、ここから出て、捜せ、追へ!手に入れろ!
…そして失え!

お前が本当に求めるものを、どこまでも追いかけろ!
…そのくり返しだ。

手に入れて失う。
そして失ったものは戻らない。

お前はその店を出て、長い階段を抜け、太陽の街をさまよう。
その瞳に希望と影を宿して。

そしてその店に戻ることは…
二度と無い!
----------------------------------------------------------------------------
「叙情派ひとつ2021」に寄稿いただいた作品「The Raven」より。エドガー・アラン・ポーの「大鴉TheRaven」に触発された作品とのことです。「叙情派ひとつ2021」ブックウォーカーでの価格をしばらく0円設定にしました。漫画も合わせてご覧ください。
一番上↑へ

3.「風見鶏」

「風見鶏」作詞:イタガキノブオ

作詞:イタガキノブオ

----------------------------------------------------------------------------
たがいに心惹かれあってるふたつのふるい風見鶏
あるとき北方(きた)の方向(ほう)からざっと風が吹く
するとふたつ同時に北方(きた)の方向(ほう)を向く
こんどは西方(にし)の方向(ほう)からざざっと風が吹く
するとやはり同時に西方(にし)の方向(ほう)を…

たがいに見つめあうことの出来ないかなしいさだめの風見鶏
不意にふたつの強いつむじ風がやって来て
ふたつのからだをくるくる廻す、くるくる廻す…

ほんのひとときのつかのまの邂逅に
つかのまの夢を夢みるふたつのふるい風見鶏
ああもういちどもういちど
つむじ風がやって来てくれないかしら、と…
----------------------------------------------------------------------------
イタガキノブオさんから言葉をいただき、曲にしました。未公開の新作です。シャンソンをイメージした書かれた詩ということでしたが、AIではシャンソン指定できなかったので、ちょっと懐かしめの曲になっております。お聴きください。
一番上↑へ

4.「腐りかけのサツマイモ」

「腐りかけのサツマイモ」作詞:秋元なおと

作詞:秋元なおと

----------------------------------------------------------------------------
今朝、サツマイモを切ったら
端っこが黒くなってた

腐りかけのサツマイモ

サツマイモは寒さに弱いのだ
安いサツマイモだったんだ

真ん中辺は多少マシだったので
チンして食べてみた

腐りかけのサツマイモ
美味しくはないが
食べられなくもない


お腹が痛くなるわけでもないので
お豆や人参と混ぜて煮物にした

濃い砂糖と醤油で味付けしたら
普通に美味しい煮物ができたよ

腐りかけのサツマイモ
美味しくはないが
食べられなくもない

私は歳をとってしまって
腐りかけのサツマイモなのかも
誰か彼かに混ざって生きている
誰か彼かのおかげで楽しい人生

腐りかけのサツマイモ
美味しくはないが
食べられなくもない

そんな腐りかけのサツマイモ
春になると芽が出ることはあるかな?
春になると
私の爪先がウズウズして
そんなこともあるのかな?

腐りかけのサツマイモ
美味しくはないが
食べられなくもない

誰か彼かに混ざって生きている
誰か彼かのおかげで楽しい人生
美味しくはないが
食べられなくもない
----------------------------------------------------------------------------
まあ、いわるゆ、なんといいますか、近況?的な。新作です。
一番上↑へ

5.「すべて善」

「すべて善」作詞:つやまあきひこ

作詞:つやまあきひこ

----------------------------------------------------------------------------
2013年の正月から怒涛の如く我が身に起こってきた
気が狂いそうなネガティブな出来事の数々は神様のお試し期間
だったんだ、という風に捉えることが出来るようになって
きた

褒められてうれしい、当たり前
けなされてうれしい、出来たらすごい

けなされたら、ああ、神様が試してきてくれているんだね、
どうも感謝します、

と思えるようになってきた

世の中で起きることは自分にとってはすべて善、
悪く思えたことも時が経つと自分の役に立っている

だから善

褒められてうれしい、当たり前
けなされてうれしい、出来たらすごい

けなされたら、ああ、神様が試してきてくれているんだね、
どうも感謝します、

と思えるようになってきた

世の中で起きることは自分にとってはすべて善、
悪く思えたことも時が経つと自分の役に立っている

だから善

すべて善
----------------------------------------------------------------------------
制作2025年。未公開の新作です。
一番上↑へ

6.「しわくちゃなスカート」

「しわくちゃなスカート」作詞:秋元なおと

作詞:秋元なおと

----------------------------------------------------------------------------
お風呂から上がると 体の汚れが取れて 気持ちもすっきりする
そのまま布団に入り モンゴメリーを読むのが好きだった、あの頃

別に学校がキライだったわけじゃない
別に家族がキライだったわけじゃない
別に自分がキライだったわけじゃない
ただ 汚れない心でいたい時があった
ひとりになりたい時があった
ただ それだけだったと思う

この世界のどこかに私が楽しくいれる場所はあるかな?
この世界のどこかに心から楽しく話せる人はいるかな?

小学校の頃 私は今より明るく ひょうきんだった
その時の自分と 今の自分って 同じ人間なのかな?

こんなにかったるく ムズムズした違和感は なんなのかな?
いつか、こんな気持ちから 抜け出すことはできるのかな?

だれかと一緒に好きな事について もっと深く話がしたい
だれかもっと私を 深みに連れて行くような話をしてよ

別に学校がキライだったわけじゃない
別に家族がキライだったわけじゃない
別に自分がキライだったわけじゃない
ただ 汚れない心でいたい時があった
ひとりになりたい時があった
ただ それだけだったと思う

孤独感とあこがれとで、喉が渇いていた、あの頃
----------------------------------------------------------------------------
この詩は個人誌「しわくちゃなスカート」に収録した「叙情派ひとつ1号」掲載の「さなぎ」と「叙情派ひとつ6号」掲載の「星空」と「叙情派ひとつ7号」掲載の「このひとりぼっちの世界に」と「叙情派ひとつ2008」掲載の「街灯」からの引用です。中高生の頃の漫画やアニメの仲間を見つけられなかった頃の気持ちをつづったような作品です。
一番上↑へ

7.「MOTHER of PEARL」

「MOTHER of PEARL」作詞:田井亮子

作詞:田井亮子

----------------------------------------------------------------------------
目覚めたままで夢を見て
息を限りに幻を追う
それと抱き合いたい
心ゆくまで踊りたい

私の奥にある海への扉を開け
深くもっと遠くへ手を延ばし
あの大きく荒々しく美しいモノたち
この手で捕まえたい

描けるものは勝手にやってくるけど
描きたいものとは一致しなかったり
知りもしないことを知ったよに描いたり
苦労して捕まえたものが ただの石だったりする

既成の作風を真似ず
人や流行に媚びず
自分の技術や知識をひけらかさず
とっつきやすく さりげなく
しかも深く描けないかな

私の奥にある海への扉を開け
深くもっと遠くへ手を延ばし
あの大きく荒々しく美しいモノたちを
この手で捕まえたい

私は欲深く
身のほどを知らない

私の奥にある海への扉を開け
深くもっと遠くへ手を延ばし
あの大きく荒々しく美しいモノたちを
この手で捕まえたい

この手に余っても
この手で形にしたい
----------------------------------------------------------------------------
これは田井亮子さんが1992年に発行した同名の同人誌の作品「MOTHER of PEARL」からことばをひろいました。今年の「叙情派ひとつ2025」で紹介しようと思います。自分はなぜ漫画を描くのか?どんな漫画を描きたいのか?どう描けばいいのか?それはどこにあるのか?自分向き合い答えを探っていく…そんな作品です。
一番上↑へ

8.「くおん」

「くおん」作詞:つるはら かおり

作詞:つるはら かおり

----------------------------------------------------------------------------
はる、はる、はな、はな、くりかえし。
はな、はな、ひと、ひと、くりかえし。
くりかえせども、おなじなし、
「…やまからそよふけば
さくらのはながちる…」
いとしげなるかな、そのせつな。
----------------------------------------------------------------------------
・久遠(くおん): 長く久しいこと。遠い過去または未来。永遠。
・歌詞の「…やまからそよふけば さくらのはながちる…」は昔からある縄跳び遊び歌からの引用になっています。
合同誌「ノンストーリーマンガひとつ」6号2000年に寄稿いただいた作品「くおん」より。
一番上↑へ

9.「白い朝のこと」

「白い朝のこと」作詞:川名みずき

作詞:川名みずき

----------------------------------------------------------------------------
きのう雪が降って、外はまっ白だ。
私はひとり、暗い雪の道をシャクシャクと進む。

吐く息でマフラーが湿り、しだいに冷たくなってくる。

誰もいない田舎の通学路。

電信柱の灯りが、まだ灯ってて、曇り空にひんやりと光ってる。
まるで夢の中のよう…

なんでもない冬の朝のこと。

友達の家に着くと、寝坊した友達は顔を洗ったばかりで、
お母さんから、あたたかいミルクと居間のイスをすすめられた。

部屋の中は薄暗く、窓ガラスは凍りついてる。
台所からトントンと音が聞こえ、遠くからラジオの音がした。

とても静かで、ほっとする。
なんでもない冬の朝のこと。

もし人生の最後に、一日だけやりなおせるなら
いちばん楽しかった日とか、大失敗した日じゃなく、
しんと静かで、ささやかな、子どもの頃の、この時間を…
もう一度過ごしてみたい。

なんでもない冬の朝のこと。
----------------------------------------------------------------------------
この作品は「叙情派ひとつ2014」に掲載させていただいた「白い朝のこと」より。今年2月で川名さんが亡くなって11年になります。ブックウォーカーでこの本を現在0円で読めるように設定してますので川名さんの漫画も合わせてご覧ください。(ご遺族の方のご了解を得て制作しております)
一番上↑へ

10.「師と詩と志と」 

「師と詩と志と」作詞:つばめ・ろまん 

作詞:つばめ・ろまん 

----------------------------------------------------------------------------
あなたは、あどけないおかっぱ頭の少女の姿で、僕の前に現れた。
僕の師よ。

「きみもアウトローとして生きてみたら?
一般の道理なんて、それがどうして正しいと言える?
だってな、世界はこんなにも不条理で満ちてる」

あなたは、はばたき、大空を舞って見せてくれた。

「わたしは若い時に、日本中旅して楽しかったよ。
はじめての場所でも、どこかなつかしく、あったかかったり。
街の中には、いろんな人がいてる」

黒い猟奇仮面を付けたあなたとすれ違う。

あなたはもう忘れたかもしれませんが、あのときの言葉が、ずっと頭の中にあるんです。

だから心は弱くても、師と慕う影を追いながら、世の中に飲まれずこれたんだと。

あなたは微笑んで、手を振って、人混みに溶け去った。

夏の陽射しが強いのに、誰もいない浜辺の風景。
風と波の音ばかりが寂しくて、哀しい。

かつてここに立っていた、あなたの幻想を視る。

「ありがとうね。先に行って、空から見てる。」

風の中にそんな幻声が聞こえた気がする。

僕の師よ。
----------------------------------------------------------------------------
この曲は「叙情派ひとつ2020」に寄稿いただいた「師と詩と志と」つばめ・ろまん より。作者さんの師と仰ぐ漫画家の うらたじゅんさん(~2019年2月7日)を想って制作された漫画です。「叙情派ひとつ2020スマホ版」は無料で公開中です。
一番上↑へ

「風はいつも海から吹いていた」

「風はいつも海から吹いていた」 作詞:つるはら かおり

作詞:つるはら かおり

----------------------------------------------------------------------------
蔵の黒板壁
積み上げられた酒瓶

空き瓶の碧と空の青が
記憶の中でないまぜになる

浜から絶えず吹いてくる
風、風、風、…

昔、親は家業が忙しく
子供にかまう余裕がなかった

私は皆の集まる祖母の家を避け
浜の方の伯母の家でひとりすごした

黄昏は私を追い立てる
私は一体何処へ帰るのだろう?

伯母の手で揺れる茶碗を見ながら
暗がりに沈んでゆく町を歩いた

自分の家に着いて扉を開けると
かなしいくらいに眩しいあかり

その時、目の前の家族の顔が
見知らぬ人々に見えた

私はいったい何者なのか?
何処へ帰ってきたのか?

早く早くと追い立てられる度に
不安が膨らんでいった

私は泣いてしまい伯母の家に戻った

伯母の家から黒い海が見えた
遠くに小さく明かりが見えた
その後のことはあまり覚えてない
長いこと海を見ていた気がする

そんな事も今は昔の事だ
私は人と時間の中で「私」という存在を創ってきた

でも時折黄昏に海から吹いて来る風に晒されると…
心の中が茫々と鳴る 
----------------------------------------------------------------------------
この元になった同名の漫画は「ノンストーリーマンガ・詩情編 ひとつ2号」1997年と「叙情派ひとつ2020」とに掲載させていただきました。「叙情派ひとつ2020スマホ版」は無料で公開中です。
一番上↑へ

「poet at night」

「poet at night」作詞:五月病

作詞:五月病

----------------------------------------------------------------------------
毎夜、言葉を拾い集めて歩く

なんでもない路地の中から
シルエットのような黒猫から
燃え続けるシリウスから
穏やかな顔をした高速道路から

毎夜、言葉を拾い集めて歩く

闇に消えていくこの煙もやがて
街の一部になる
寂しい時にだけ優しい顔をする
夜が、好きだ

毎夜、言葉を拾い集めて歩く

何者でもない顔をして
名前のない路地をゆく
忘れたいことも
忘れたくないことも
いつかは全て
夜に消えていくだろう…

毎夜、言葉を拾い集めて歩く

耳鳴りが聞こえてくると
本当の夜の始まりだ
深く、または遠くへと
ひとりきりで出かけてゆく

荒野のようなその場所の
果ては まだ見たことがない…

集めた言葉でジャグを巻いて火を灯せば
さあ、夜の詩の完成だ

毎夜、言葉を拾い集めて歩く

行くあてなんてないし
伝えたいこともない
誰かの共感なんて必要ない
僕は僕のままでいたい

それだけなんだ…

集めた言葉でジャグを巻いて火を灯せば
さあ、夜の詩の完成だ
----------------------------------------------------------------------------
「叙情派ひとつ2021」「叙情派ひとつ2023」に寄稿いただいたいくつかの作品から言葉をひろいました。「poet at night」「FAR OUT」「ねぐせ」「poet at night 2」「よるべ」より。
ブックウォーカーの「叙情派ひとつ2021」を0円設定で無料で読めるようにしました。
一番上↑へ

・使用AI:TopMediai(作曲、演奏、歌)
・各曲の作詞の補助およびAI生成調整作業:秋元なおと
・効果音:https://taira-komori.jpn.org/ 、https://soundeffect-lab.info/
・制作2025年2~3月

© Copyright 2025 Naoto Akimoto - All Rights Reserved

Offline Website Software