石ノ森章太郎氏は死ぬ間際まで「サイボーグ009」を 完結させるべく構想を練っていたそうです。
白土三平氏は「カムイ伝」を完結させることなく マンガと決別して悠々自適に暮らしているそうです。
気が済まないなら作り続けるしかない。
気が済んだならやめたらいい。
昨年、私の参加した即売会のコミティア※1に 樹村みのり氏ご本人が参加されており、 たまたまお会いすることができました。
樹村みのり氏は私が十代の頃に熱心に読んだ 少女マンガ家さんのお一人です。
それまでコミティアにはちばてつや氏をはじめとする 有名漫画家さんが参加されていることはありましたが、
ちっぽけな反骨精神と自分の店番のこともあって、 見に行ったりはしませんでした。
でも樹村みのり氏ご本人を目の前で認識できた時、 とても喜んでいる自分に気づいたのです。
自分の中には十代の頃ガツンと影響を受けた 少女マンガが居座っているのを再認識しました。
そして私は…かの少女マンガや少女マンガ家さんの 小さな小さな子供みたいなものではないか、 と思い至りました。
萩尾望都氏は十代の頃に手塚治虫の「新撰組」を読み ガツンときたので、なんとか自分も誰かにガツンと やり返したいと、むか~しラジオで話していました。
私は十代の頃に少女マンガにガツンとされました。
当時の少女マンガ的なものは自分には描けませんが、 表現の根っこには外せないモノがあるように思います。
だから「叙情派ひとつ」なのでしょう。
気が済むまでやるのです。
それと同時に「叙情派」ということを他人に強要してもあまり意味ないか、とも思いました。
それぞれ自分がガツンと来たモノをベースに、 自分なりに、今 自分ができる形にするのだろうから。
作家さんがその想いを「叙情派ひとつ」に乗っけて、 ちょっとでも気が済むと感じるのなら、幸い…、
そういうことだろうな、と。
※1コミティア=創作マンガ同人誌の即売会の代表格。
文中のお名前は有名漫画家さんです。
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