叙情派ひとつ2018

2018年9月発行、A5、140P、100部

石ノ森章太郎氏は死ぬ間際まで「サイボーグ009」を 完結させるべく構想を練っていたそうです。
白土三平氏は「カムイ伝」を完結させることなく マンガと決別して悠々自適に暮らしているそうです。
気が済まないなら作り続けるしかない。
気が済んだならやめたらいい。

昨年、私の参加した即売会のコミティア※1に 樹村みのり氏ご本人が参加されており、 たまたまお会いすることができました。
樹村みのり氏は私が十代の頃に熱心に読んだ 少女マンガ家さんのお一人です。
それまでコミティアにはちばてつや氏をはじめとする 有名漫画家さんが参加されていることはありましたが、
ちっぽけな反骨精神と自分の店番のこともあって、 見に行ったりはしませんでした。

でも樹村みのり氏ご本人を目の前で認識できた時、 とても喜んでいる自分に気づいたのです。
自分の中には十代の頃ガツンと影響を受けた 少女マンガが居座っているのを再認識しました。
そして私は…かの少女マンガや少女マンガ家さんの 小さな小さな子供みたいなものではないか、 と思い至りました。

萩尾望都氏は十代の頃に手塚治虫の「新撰組」を読み ガツンときたので、なんとか自分も誰かにガツンと やり返したいと、むか~しラジオで話していました。
私は十代の頃に少女マンガにガツンとされました。
当時の少女マンガ的なものは自分には描けませんが、 表現の根っこには外せないモノがあるように思います。

だから「叙情派ひとつ」なのでしょう。
気が済むまでやるのです。

それと同時に「叙情派」ということを他人に強要してもあまり意味ないか、とも思いました。
それぞれ自分がガツンと来たモノをベースに、 自分なりに、今 自分ができる形にするのだろうから。
作家さんがその想いを「叙情派ひとつ」に乗っけて、 ちょっとでも気が済むと感じるのなら、幸い…、
そういうことだろうな、と。

   ※1コミティア=創作マンガ同人誌の即売会の代表格。
    文中のお名前は有名漫画家さんです。

  • 「雨のミュージック」はらだなおみ
  • 「チャーハン」Rita Lee, Vivian Lee
  • 「山の声」大樹
  • 「Face the Voice」蒔こよみ
  • 「火竜の娘」おがわさとし
  • 「アマゾネスの針」驢馬
  • 「みすゞ」森谷和花子
  • 「どこかのキミへ」「気付いた話」「どこかの町のこと」すぎむらなおき
  • 「ねことるすばん」くりもとりゅう
  • 「同化」由一
  • 「戀奏」つばめ・ろまん
  • 「Quiet songs」小津端うめ
  • 「don't forget me」摘草春菜
  • 「Way of life」小野カロン
  • 「幻想空間」「しあわせな時間」ひすいろうかん
  • 「ペア・カップ~レイニー・デイ」Lune
  • 「成長」なかせよしみ
  • 「セブンスターロック」「Lightning rod」五月病
  • 「霜降」しょうじひでまさ
  • 「はにわとラッパ」「はにわと音」「はにわとたまご」まのこ魚
  • 「REFRESH」IZUMI
  • 「障壁」「卒業後?」「虫と私と2 しろばんば」秋元なおと
  • イラスト:白井弓子、山名沢湖、きさめゆづは、田井亮子
  • 作家さんに会いに行く:蒔こよみさん編
  • 「favorite book&star」五月病(電子書籍版)
  • 「武田さんへ」秋元なおと(電子書籍版)

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